前回の記事では昭和一桁生まれの方の幼少期から青年期までの時代背景についてまとめました。
この記事ではそんな世代の結婚感から介護に対する考え方までを語っていきます。
前回の記事をまだお読みでない方は下記を参照してください。
結婚事情
戦争によって男性の数が減り、結婚適齢期の男女比が3:2になったと言われ、若い男性と言うだけで引く手あまたという現象が起きました。
結婚に至るきっかけの殆どがお見合いによるもので、初めて会うのが結婚式の日などという事がざらにありました。
結婚式は農繁期を避けた秋や冬のはじめに家で行っていました。
それでも結婚式を行うカップルは半分もいなかったようです。
当時は嫁は夫の家に入り、姑や舅のもとで厳しく教育されました。
また、男尊女卑が強く残る時代で傍若無人な夫も少なくなく、お酒やギャンブルにはまり込んで家にお金を入れさえもしないような夫も数多く居ました。
逆に嫁に対しては嫉妬深く買物への外出以外は許さないなんていう旦那も大変多かったです。
それでも離婚することは簡単なことではなく、当時は離婚したくても両親が世間体を気にして反対するなどということがありました。
ですから、女性は我慢に我慢を重ねて生きてきた方も多かったのです。
復興期
戦後の復興期を支えた方々です。
今のように大概がサラリーマンになるような時代ではありません。
想像以上に自分たちで商売を行ってきた方が多いです。
タバコ屋、靴の製造、革のなめし、などなど様々な商売を行ってきた方が多いです。
中には薬の卸売業で財をなした方や向島で有名な料亭を切り盛りしてきた女将さんもいらっしゃいます。
これは墨田区や台東区に住んでいた方は商売っ気が強いことが影響しているかもしれません。
当時はやればやるだけ物やサービスが売れる時代で、この時代の方はとて勤労意欲が強いです。彼らの支えにより70年台の高度成長期やバブルを通じて日本を世界第2位の経済国家に仕立て上げました。
子供との関係
昭和一桁生まれの方は自分たちが子供の頃兄弟が多く、教育や衣食住にまともにお金をかけてもらえなかったという思いを持たれている方が少なくありません。
そんな彼らは自分の子供たちにはそんな思いをさせたくないと、子供を少数精鋭化する傾向があります。ですから平均的な子供の数は2人から3人程度で教育に力を入れています。
この時代の方々の子供はいわゆる団塊の世代と呼ばれる世代です。
子どもたちは同居を拒むことが多く高齢の夫婦や独居で暮らしている方がとても多いです。
だいたいは近くに住んでいて週1回や月数回様子を見に来ると言うような関係を続けていて、いざ動けなくなったら場合は同居に踏み切るのか、施設に預けるのかを考えるというパターンが多いように感じます。
配偶者との別れ
この世代の方々において、配偶者が亡くなるということは男女によって大きく影響が違います。圧倒的に多いのが女性が残されるパターンですが、そういう場合旦那からの開放感で羽を伸ばして人生を謳歌している方が多い傾向にあります。
旦那がいる時は外に買物に出ることさえ許されなかったなどという話も聞いたことがあります。そんな旦那が亡くなって始めて銀座に出かけたのがとても楽しくて、それから毎週銀座に出かける様になった。などとの感想を持たれている方がいました。
一方、男性が奥様をなくした場合引きこもってしまうパターンが多いかもしれません。男性の場合社会とのつながりが希薄で奥様に依存している傾向が強いため奥様をなくしたことによって意欲をなくしてしまいます。
デイサービスに通うのも女性は積極的な方が多いですが、男性の場合はあまり積極的ではない傾向があります。
年金と介護について
国民年金が始まったのが1961年、当初の掛け金は35歳未満が月100円、35際以上が月150円と格安でした。年金をもらい始める平成までの間で国民年金の保険料は8,000円と大幅に上がっていきました。しかし、いずれにしてもこの世代は掛け金以上の年金を支給される羨ましい世代となっています。
国民年金の支給額は年間78万円程度です。月に直すと6万5千円程度で生活していくのにギリギリな金額という感じでしょうか。
昭和一桁生まれの方の介護が必要になった頃にちょうど介護保険制度が始まりました。家族に手伝ってもらいながら介護保険サービスを利用して生活を維持している方が多い中、未だに人から世話になることに躊躇されている方もいらっしゃいます。
制度開始当時は施設に入ることを拒否される方が多かったですが、最近では施設への入居者も増えてきました。
楽しみの少ない高齢者
この世代の高齢者は幼少期から青年期にかけて戦争を経験したため我慢することが当たり前になっていて贅沢をすることを悪いことだと捉えている傾向があります。
そのせいで、例え裕福になったとしてもお金の使い方を知らない方が大勢います。
デイサービス内でたまに話題になるのが、「宝くじが当たったら何に使いたいか」というものに殆どの方が具体的な使い道を答えられず、家族に分け与えることくらいしか思いつかないのです。これが、高齢者の預金が増え続けている理由になっているかもしれません。
いずれにしろ楽しみも大してなくただ日々時が過ぎることを待っている高齢者はとても多いです。デイサービスでできることは限られますが、ご利用者様に少しでも楽しみが見つかるように努力していくことが求められます。
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