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【デイサービス(通所介護)の売上利益分析】デイサービスはもはや儲からないのか

投稿日:2018年10月4日 更新日:

これからデイサービスの起業・開業を考えられている方やなかなか利益が出ないという経営者のためにデイサービスの売上や利益について詳しくまとめてみました。

デイサービスの売上

デイサービスの売上は大きくは介護保険収入と保険外収入に分けられます。
ただ、今現在の制度では保険外収入は微々たるもので、そのほとんどが介護保険収入によるものになります。

また、介護保険収入は基本的な通所費と加算に分けられています。
通所介護費は基本的にお預かりしたことによる対価ということになります。
中でどんなサービスをしようが変わりはありません。

一方加算はどのようなサービスを提供してかで手に入る対価ということになります。
では、それぞれの売上についてみていきましょう。

通所介護費

まずは介護保険収入についてまとめまとめました下記の表をダウンロードしてご覧になってください。

デイサービス売上一覧

※便宜上地域区分は代表する1級地と4級地のみ掲載しています。

初めてご覧になられた方は項目がたくさんあってどれが売上なのかわからないことでしょう。
通所介護費は下記の4つの区分ごとに点数(地域区分は乗数値)が振り分けられています。

つまり、通所介護費は4×6×5×8=960通りの売上が割り振られていることになります。

  1. デイサービスの規模(大規模Ⅱ・大規模Ⅰ・通常規模・地域密着型)
  2. ご利用者様の滞在時間(~4時間・~5時間・~6時間・~7時間・~8時間・~9時間)
  3. ご利用者様の介護度(介護度1~5)
  4. 地域区分(無級地、7級地~1級地)※地域区分は点数ではなくて円換算にするための数値

各項目左から右に行くにしたがって売上は上がっていきます。
つまり、地域密着型で9時間介護度5の方を1級地でお預かりすると最も高い売上(14,518円)が手に入る計算になります。

この表を深く分析していくといろいろなことが見えてきます。

滞在時間の差について

滞在時間による売上の差異に関して見ていきましょう。
当然滞在時間が長いほど売り上げは高くなっていきます。

~4時間と~5時間の間には200円ほどの差しかない一方、~5時間と~6時間の差は2,300円とかなり差があります。
これは半日利用と1日利用の差が意識されていることになります。
~6時間となると必ず食事の時間を挟むことになるので、これだけの差ができていると考えられます。

また、~6時間と~7時間の差は300円、~7時間と~8時間の差は800円、~8時間と~9時間の差は300円と1日利用の中でも1時間の時差でも差が出てきます。
これは従業員のシフトの問題として8時間以上の勤務が必要になるかならないかの差が考慮されていると考えられます。

これらを踏まえると半日利用のデイサービスであれば、午前中であれば~4時間の利用として、午後の方は早めに送迎して~6時間の利用の促すというやり方もあると思います。

介護度による差について

ご利用者様の介護度による差は想像以上に大きいです。

当然介護度が上がればスタッフの手がかかることも多いでしょうし、様々な処置が必要になる場合がありますから当然といえば当然です。
各介護度のADLなどの基準についてはこちらをご覧ください。

さて、地域密着型を基準に見てみましょう。
まず、~4時間だと介護度が1つ上がると650円程度売上が上がります。各介護度ごとに差はほとんどありません。
~5時間だと680円、~6時間だと1,270円、~7時間だと1,310円、~8時間だと1,500円、~9時間だと1,550円といった具合です。

これが要介護1と要介護5であれば、この4倍も売上の差が生まれてくることになります。
つまり地域密着型で~9時間の場合要介護1と要介護5であると6,000円以上売上に差がつくことになるのです。

時間が長くなればその分差も増えていくのは上記で分析したのと同様ですが、滞在時間の差以上に介護度による売り上げの差が大きいように感じます。

当然ながら経営者側としては介護度の高いご利用者様を確保していきたいというインセンティブが働くことになります。

利用定員(施設規模)による差について

利用定員によっても売上に差がつけられています。
利用定員が少ないほうが職員の割合が多くなり、手厚い介護が受けられるからです。
一方大きい施設出ればあるほど規模の経済が働き、人件費やその他費用を割安に収めることが可能になります。

規模における差は下記の通りになります。

規模による利用定員数は地域密着型が~500人程度、通常規模が~750人、大規模Ⅰが~900人大規模Ⅱがそれ以上となります。

  • 地域密着型と通常規模の差:490円~2,050円(11~14%)
  • 地域密着型と大規模Ⅰの差:620円~2,450円(12~15%)
  • 地域密着型と大規模Ⅱの差:750円~2,900円(17~20%)

この数値がどういう意味を持つかを論じるには費用分析もかかわってきます。

簡単に言うと人件費や減価償却費を含めたご利用者様一人当たりにかかる総費用を20%以上抑えることができれば大規模Ⅱの施設を開業するべきであるということになります。

加算について

デイサービスの売上や利益に大きな影響を与える加算についてですが、この加算というものは上記の様に規模や時間、介護度によってほとんど差がありません。
つまり、滞在時間が短かろうが、介護度がいくつであろうが、施設の規模がどうであろうが差がないことになります。

そして、ほとんどの加算がサービスを行った人数に対して加算されるものです。

ではデイサービスで行われる基本的な加算についてお話していきます。
※カッコ内単価は1級地で換算。

入浴加算(50単位/545円)

要介護者はご自宅では安全に入浴することができません。
デイサービスでの入浴の要望はとても多いです。

入浴設備に大きなスペースをとられてしまうことや浴室を作るのに初期費用が掛かることがデメリットです。
また、機械式浴槽になると大きな費用が掛かることがあります。

入浴を売りにして通所してもらうことを目的に設置することになります。

個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱ(46単位/500円 56単位/610円)

ご利用者様が要望するリハビリプログラムを作成し実行することによって得られる売上です。

個別機能訓練加算を取得するにはADLの詳細なアセスメントをとったうえで機能訓練計画を立て、実行評価していかなければなりません。
それには少なくとも1人以上の常勤の機能訓練指導員の配置が必要になります。

サービス提供体制強化加算

この加算はよりレベルの高い介護職員を配置している施設に与えられる加算です。
基準を超えていれば全てのご利用者様から取得可能です。

加算Ⅰ(イ)であれば200円ほどの売り上げ増になりますので、大きな売り上げの増加が見込めます。
採用時から介護福祉士取得者を選ぶなど計画的に加算を取得できるように考えていきましょう。

加算Ⅰは介護職員の総勤務時間における介護福祉士取得者の勤務割合によって加算が可能になります。
加算Ⅰ(イ)は50%以上、加算Ⅰ(ロ)は40%以上です。

加算Ⅱは3年以上勤務している介護職員の勤務割合が30%以上だと取得可能です。

中重度者ケア加算

上記のサービス提供体制強化加算と同様に基準をクリアしていればすべてのご利用者様から取得できる加算です。
要件は常勤専従の看護師の配置と介護度3~5の利用者数が前提の30%を超えていることです。

基本的に重度者を受け入れるために設備から作っていかなければならないため、簡単には取得することはできません。
しかし、一人当たり500円もの売り上げ増が見込まれるため、ぜひ取得したいところです。

保険外サービスについて

社会保障費が抑制傾向にある近年、介護保険サービス以外のサービスで収益をあげる方法が模索されています。
以前から許可されていた食事の提供やおむつなどの提供(基本的に実費の範囲内)以外に送迎時のお買い物同行などが認められるようになって来ました。

お酒の提供やお墓参りの同行など少しづつチャレンジするデイサービスが増えているようですが、まだまだ黎明期といえます。
今後は様々なサービスを認める方向になっているようですが、これらは各行政区の考えにもよるところがあります。

今後の法改正や行政の動向によっては大きな収益の柱になる可能性があります。
保険外収入についても頭の片隅に入れながら経営を行っていく必要があります。

実績100%の売上っていくら?

上記のことを踏まえてデイサービスがどの程度の売上を出すことが可能なのかについて何通りかに分けてみていきます。
営業日数は30日で計算しています。

利益に関しては参考がてら標準的な費用割合を使って出しています。

半日型入浴専門デイサービス(日帰り温泉型デイサービスはつねの場合)

  1. 種類:地域密着型
  2. 定員:10名
  3. 提供時間:3時間~4時間
  4. 平均介護度:2.5
  5. 加算:入浴加算(100%)・個別機能訓練加算Ⅰ(50%)・サービス提供体制強化加算Ⅰイ(100%)・処遇改善加算Ⅰ
  6. 保険外:おやつ 200円

実績100%の場合の売上 4,075,130円 利益(2,050,000円)

実績80%の場合の売上     3,260,104円 利益(1,030,000円)

通常型重度者受け入れデイサービス

  1. 種類:通常型
  2. 定員:20名
  3. 提供時間:6時間~7時間
  4. 平均介護度:3
  5. 加算:入浴加算(50%)・個別機能訓練加算Ⅰ(50%)中重度者ケア加算(100%)
    サービス提供体制強化加算Ⅰイ(100%)・処遇改善加算Ⅰ
  6. 保険外:食事 650円

実績100%の売上 6,320,995円  利益(2,520,000円)

実績80%の売上     5,056,796円  利益(1,300,000円)

定員30名の大規模加レスパイト型デイサービス

  1. 種類:大規模Ⅱ
  2. 定員:30名
  3. 提供時間:7時間~8時間
  4. 平均介護度1.2
  5. 加算:入浴加算(100%)・個別機能訓練加算Ⅰ(50%)・処遇改善加算Ⅰ
  6. 保険外:食事 650円

実績100%の場合の売上 6,760,379円 利益(1,850,000円)

実績80%の場合の売上     5,408,303円 利益(780,000円)

 

売上のポイントは介護度

上記の売上モデルを見てもらえばお分かりの通り、単純に規模を倍にすれば売り上げも倍になるというわけではありません。
最も小さい定員10名の施設でも加算と平均介護度を上げていけば400万円を超える売り上げを上げることが可能なのです。

当然ポイントとなるのが、ご利用者様の平均介護度です。
デイサービスで平均介護度が2を超えている施設はあまりないように思われます。

開業時から施設のハード面を中心に重度者を受け入れられる体制を作っておかなければならないからです。
急に重度者を入れろと言われてもなかなか難しいかもしれません。

もしこれからデイサービスの参入を考えられているのであればいかにして重度者を受け入れられるかを考えたほうが賢明だと思います。

 

デイサービスにかかる費用分析

デイサービスの費用に関して、下記の様に3つに分けて説明していきます。
まずは人件費、これは変動費の一部ですが、費用のうち大部分を占めることになるので別でお話していきます。

あとは変動費と固定費に分けてお話していきます。
変動費とは売上や職員の採用数によって費用の増減がある費用のことです。

固定費とは毎月の支払い額が変わらない費用のことを言います。
ここでは便宜上ほとんど変動がないようなものは固定費として説明します。

人件費

人件費は人に払う費用総額のことで、デイサービスの費用の大半を占めています。

一人一人の人件費は職種や経験によってことなり、採用する人数も施設によってまちまちです。
※職種による平均給与はこちらにまとめていますので確認してください。

失敗するデイサービスの傾向として、この人件費に関する計算ができておらず過剰になってしまったり、はたまた人件費を削りすぎて職員が疲弊してしまいまともなサービスが提供できなくなる、というようなことが起こりがちなように感じています。

ここでは人件費、つまり採用計画についてお話をしていきます。

何人の職員何人のご利用者様に対応可能か

さて、採用計画の基本はできる限り無駄な職員の配置をやめ、人員基準を満たしたうえで効率的に配置を行うことです。
そのためにはそれぞれのデイサービスの運営において、何人の職員で何人のご利用者様を見ることができるのかを知らなければなりません。

例えば、ご利用者様が5人しかいないのであれば管理者と生活相談員と介護職の3人で見ることができる。
10人になったら機能訓練指導員と介護職を1人ずつ増やすことで5人で見守ることができる。

などと人員の必要数をご利用者様数を基準に把握しておけば、無駄な採用をすることもないし、人が足りないということにもなりにくいです。

特に開業当初の場合、ご利用者様の数が急激に増えていき、ある程度まで来ると急に増加の幅が小さくなる時が来たりします。
しっかりとご利用者様の契約状況を確認しながら採用計画を立てる必要があります。

採用形態による福利厚生費の差

また、人件費には月々の給与だけではなく、社会保険料や労働保険料、交通費、ボーナスの引き当てなどが入ってきます。
これらを合わせて福利厚生費といいます。

特に社会保険料と労働保険料はそれだけで給与の15%という莫大な費用がプラスされます。
下記に加入の条件を記載しますので参考にして採用計画を立ててみてください。

  • 週20時間以上勤務:労働保険
  • 週30時間以上勤務:社会保険と労働保険
  • 正社員(週40時間):上記に加えてボーナスが発生(法律上なくてもOK)

上記の様に20時間、30時間、40時間勤務するかどうかで大きな差が生まれてきます。

ボーナスに関しては法律で決まっているわけではないですが、慣例上このように差がついている施設が多いことか入れています。

また、30時間の壁はとても大きく、社会保険料の支払いは給与額の15%ほどを会社がプラスで負担しなければなりません。
ですから、人件費を抑えたいのであれば、30時間以下のパート職員のいかに集めるかというのも考えていかなければなりません。

固定費

デイサービスの固定費は下記のようなものがあげられます。

  • 賃貸料(駐車場代)
  • 保険料(車・火災・損害等)
  • 減価償却費(リース代)
  • 通信料
  • 衛生費雑費

特に大きいのが賃料になるかと思います。こちらは数年に1度の更新料なども含まれてきます。
長年借りているのであれば、賃料を少し安くしてもらえるように話してみたり、更新の頻度を下げてもらうなど交渉できるかもしれません。
消費税が上がるごとに賃料を上げてくる家主もいますが、これは受けなけらばならないことはないので、しっかりと話し合いましょう。

保険料も車の車両保険などをつけていると馬鹿になりません。中古車であれば車両保険なんかは必要ないかもしれません。

減価償却費については専門的な会計用語なので他のサイト等に説明は譲りますが、月々の現金の出入りはない費用です。

変動費

変動費に関しては下記のようなものがあげられます。

  • 採用費
  • 水道光熱費
  • ガソリン代
  • 食費おやつ代

採用費は施設によって大きく差異が出てくる項目です。
なかなか職員が安定しない施設では

 

【結論】デイサービスの利益について

デイサービスの経営で利益が出るかどうかについて聞かれることがとても多いです。
皆が不安に思っていることは介護報酬が少しずつ下がっていたり、総合事業が始まったりといったことから不安になっているのだと思います。

しかし、はっきりしていることがあります。
それは市場は伸びていくという未来です。
つまり、高齢者の数も重度者の数も確実に増えていくということです。

そして私は断言できます。『デイサービスで利益を出すことは難しくない』ということを。

上記の売上モデルを見てください。
どのデイサービスでも80%の売上を出したら十二分に利益が出るようになっています。

小規模10名定員の施設でも100万円以上利益を出しことは難しありません。

利益が出ていない施設はまだまだ営業努力や効率的な人員配置が足りないだけなのです。

ただ、効率的なビジネスモデルというものがあるのも事実です。
需要があり、より効率的な人員配置で重度者を獲得できるモデルを採用できれば、必ず利益が出ることでしょう。

 

-コンサルティング, 経営者の仕事, 開業・設備

執筆者:


  1. いばらき より:

    売上がそんなに出ると思わないです。うちはじり貧です。
    計算の根拠を押してください。

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