介護施設だけでなくサービス業を運営されているなら、クレーム処理に関して頭を悩ませてい方が多いのではないでしょうか。
お客様は神様だという日本的精神の悪影響のせいなのか、顧客を少しでも不満にさせるとすぐにクレームが来てしまいます。
飲食店や小売店はもちろんのこと学校などでもクレーム処理に苦労していると報道されることが増えてきました。
介護業界も例外ではなく多くのクレームが発生しておりその処理に追われています。特に介護事業所は介護保険のもとで都道府県や市区町村などによる規制を受けていますので処理の方法を間違えると最悪の場合は指定取り消しなどということになってしまいますので、細心の注意が必要です。
また、逆にクレームをうまく処理することでご利用者様やケアマネの信頼を厚くする可能性もあります。
介護業界のクレームの内容について基礎から学んでどのように処理して行けばいいか考えてみましょう。
目次
クレームの統計
実際に介護サービスを受けている方が何か不満を持たれたら事業所に対して直接クレームを入れたり、ケアマネジャーを通してクレームを入れることが大半でしょう。
それ以外に市区町村、都道府県、国民健康保険団体連合会(国保連)がクレーム処理の窓口を設けています。
それらの機関に上げられたクレームの統計を都道府県の国保連が出していますので、参考に見てみましょう。
平成27年度東京都のクレームの総数は4,302件で、市区町村がその80%以上と突出しています。クレームの大まかな内容と割合は下記の通りです。
要介護認定に関して | 4% |
介護保険料に関して | 35% |
ケアプランや介護報酬など制度的な問題に関して | 14% |
指定事業所のサービス提供に関して | 36% |
その他 | 11% |
近年の介護保険料の増加に対する不満は大きいようですが、それを除くと事業者のサービス提供に対するクレームが最も多いことになります。
クレーム先のサービス種別割合は居宅介護支援事業所が20%、訪問介護事業所が12%、通所介護はそれに次ぐ11%と介護事業の中でもクレームは多いサービスといえます。
その数は181件となっており、クレームの起こりやすいサービスであると言えます。
実際に事業所やケアマネに寄せられるクレームは小さいものも含めればその数十倍は多いと思われます。
※平成28年版 東京都における介護保険サービスの苦情相談白書 参照
クレームの種類と初期対応
次に事業所に対して寄せられるクレームの種類を見ていきます。
こちらも上記の苦情相談白書に掲載されています。
クレームの種類を分ける意味はやるべき初期対応に差があるからです。
クレーム対応に慣れていない職員にはマニュアルを作成し適切な初期対応ができるように指導しておきましょう。
クレームの種類
- 怪我や物の紛失などの実被害について
- 管理者や従業員の態度に関して
- サービスの質に関して
- 利用者負担に関して
- 説明・情報不足について
- 契約手続き関連
- その他
怪我や物の紛失などのクレームへの対応
怪我をさせてしまったり持ち物の紛失などが起こってしまうとかなりの可能性でクレームに発展してしまいます。
これらのクレーム処理に関しては誠実な謝罪や迅速な被害の弁済が必要になってきます。被害の弁済に関してはこちらに非がどのくらいあるのか関係なく弁済をしていくべきだと私は考えています。
お金の心配がなくなると人は穏やかな気持ちで交渉に入ることが出来ます。
怪我の場合は損害保険に入っていることを伝え、物の損害がある場合は可能な限り同じものを入手して用意するべきです。
そこからクレーム対応を行うと割りとスムーズに行くはずです。
職員の態度やサービスの質に関するクレームへの対応
職員の態度やサービス内容に対するクレームへの初期対応はまずご利用者様の側に立ってお話を傾聴することです。ご利用者様の言うことを否定せずに寄り添って話を聞いてください。
しかし、改善を約束してはいけません。ただ寄り添ってクレームの詳細を整理してください。
職員の態度やサービスの質に関しては事業所として対応しきれない要望が含まれている可能性があるからです。
その他予防可能なクレームへの対応
下半分のクレームに関しては事前の準備や説明によってクレームを予防することが可能です。
クレームまで発展してしまうと役所への報告などとても面倒なので予防できるものは必ず防ぎましょう。
ただ、どんなに注意してもクレームが発生してしまうことがあります。
職員全員がデイサービスの介護報酬がどのようになっていて、契約書の内容などもある程度把握できるように研修などを行っておけば、管理者などがいなくてもクレームへの初期対応が可能になります。
次に記事では実際クレームが出てしまってからの処理方法についての手順を見て行きます。
【管理・営業業務の記事はこちら】
[…] 前回のデイサービスに寄せられるクレームの基本と初期対応では東京都の公的窓口に寄せられているクレームの数や種類についてまとめました。 […]
散髪を希望している利用者に、日にちを伝え散髪代もいただいていたにも関わらず散髪当日の名前が抜けていてそのまま帰宅された。送迎時に家族が散髪をしていない事に気付きご立腹された。
今後の注意点、改善案を伺えますか?
お問い合わせありがとうございます。
個々人の日常とは違った特別なサービスは漏れが多いですよね。
今回の件であれば散髪屋に名簿を管理させてはいかがでしょうか。
彼らの利益のために行っているのですから、一人でも漏らさずに確認するでしょう。
介護職員にとっては余計な作業が増えた程度にしか考えない方もいらっしゃるかもしれません。