ご利用者様がご来所されたら必ずバイタルチェックを行います。また、入浴や機能訓練などの前後にもバイタルチェックが必要です。
バイタルチェックはご利用者様のご自身でも気づかぬ体調の異変を感知する大切な測定です。
機器の使い方や測るタイミングなどを標準化させるためにマニュアルの作成や研修などをしっかり行いましょう。
目次
バイタル測定項目
血圧(Blood Pressure)
血液が血管の与える圧力のことを言います。
上下の血圧があり、高齢者の場合上が100~140、下が60~90程度が正常値と言われています。
上の血圧(収縮期血圧)とは心臓が収縮した時、
つまり動脈に血液を送り込んだ時の動脈にかかる圧力をいいます。
血液は心臓を出るとその55%が血管に送られますが、
残りの45%は大動脈内に残り大動脈は拡張ます。
逆に下の血圧は心臓(拡張期血圧)は心臓が拡張した時、
つまり静脈を通って血液が心臓に帰る際にかかる圧力です。
大動脈に溜まった45%の血液を抹消の血管に送り込むために大動脈が収縮し、
血液はゆっくり静脈を通って心臓に戻ります。
血圧の上昇には慢性的なものと一時的なものがあります。
慢性的なものとしては、動脈に弾力性がなくなり圧力をもろに受けてしまう事によるものです。
いわゆる動脈硬化というもので肥満(運動不足)や加齢が引き起こします。
一時的なものとしてはストレスや気温差、睡眠不足、喫煙などがあげられます。
脈拍(Pluse)
1分間あたりの心臓の鼓動数です。
高齢者の平均は60~80位と言われています。
脈拍は交感神経と副交感神経の状態によって変化します。
過度な緊張、運動以外で脱水で高くなることがあります。
体温 (Body Temperature)
体の新陳代謝により算出された熱で、
心臓から送り出されるときの大動脈を流れる血液の温度とも言われています。
平均気温は36℃台と言われていますが、人により誤差があります。
発熱は様々な病気のサインとなりますので、
発熱が確認されたら入浴などは中止にしてすぐに受診してもらうように手配しましょう。
経皮的動脈血酸素飽和度(SPO2)
動脈血中のヘモグロビンのうち何%が酸素と結びついているか表したものです。
人体は酸素を必要としていますが、それを運ぶのが血液中のヘモグロビンなのです。血液はそのままだと酸素を溶かしにくい性質であるためヘモグロビンが酸素と結合して血液を通して体内に運んでいきます。
そのヘモグロビンと酸素の飽和結合率をSPO2と言います。
普通は99%に近い数値になります。
95%以下になると酸欠状態とされ、呼吸器官の異常が疑われます。
測定時の注意
バイタルを測定する際は送迎後やトイレの後、食事の後は上下が激しくなってしまう可能性があるので控えましょう。
最低でも15分程度は安静状態を保った後に測定します。
来所時の測定で異常が出た方は入浴や機能訓練を後回しにして、再検を行っていきます。
再検は20分くらい時間をあけて行います。
血圧は使う機器によっても変動がありますのでなかなか安定しない場合、
水銀計も使ってみましょう。
水銀計に関してはしっかりと研修を行って使い方を理解させておく必要があります。
体温は予測計を使っている場合は脇の下の空気がこもっていたり、
汗で濡れていたりすると正常な数値が出てきませんので、
実体温計に変えて測定してみます。
最近は測定開始20秒で予想体温、10分後に実体温を出してくれる体温計が増えてきましたので、利用しましょう。
SPO2は指が冷えていると正確な数値が出ません。
お湯などを使って指を温めてから測り直します。また、体を動かしながら測ることも避けましょう。
バイタル異常時の対応
血圧が低い場合はおやつなどを食してもらったり、
ラジオ体操や散歩など多少の運動を行ってもらいます。
ただし無理をさせては行けません。
血圧が高い場合は出来る限り横になってもらい、安静を保ちます。
体温が高い場合はご利用者様の状態を確認して何かの病気に罹患していないかチェックします。
熱が上がる時はウィルスや細菌に侵されている可能性があります。
入浴や機能訓練は中止にして安静を保ちます。
Spo2に関しては90%以下であったら呼吸困難になっている可能性があります。
低酸素状態であればSPO2の数値以外にも症状が出ますので、
呼吸数(リズム)、呼吸音、脈拍を確認し、以上が見られたら緊急搬送を手配しましょう。
まれに低酸素状態以外でSPO2が低い状態の方がいらっしゃいますが、
その際は既往歴や主治医の意見書を参考に入浴や機能訓練を行える値をしっかり決めておきましょう。
異常値ばかり出てしまう方に関して
せっかくデイサービスに来たのにバイタルに異常値ばかり出てしまう方もいらっしゃいます。
その場合サービス提供許可証をご家族やケアマネに書いてもらいましょう。
もちろん主治医に相談した上で、『入浴時の血圧は180まで大丈夫です』とか『SPO2が90以上であれば機能訓練を行ってください』などと、許可を頂いておけば安心です。
せっかくデイサービスに来たのに目的をこなせないとなるとご利用者様の不満につながりやすいので極力サービスを受けられるように工夫する必要があります。
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